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5. 基本仕様の読み方

この節では仕様が何を意味するかと、その他知らなければならないことを説明しま す。先ず最初に、定義をします。次に計算をする時に使う変数名を括弧内で示しま す。
[訳注 : この定義だけは対訳風にします。]

horizontal sync frequency (HSF)

Horizontal scans per second (see above).

水平同期周波数 (HSF)

毎秒の水平走査数 (上記参照) 。

vertical sync frequency (VSF)

Vertical scans per second (see above). Mainly important as the upper limit on your refresh rate.

垂直同期周波数 (VSF)

毎秒の垂直走査数 (上記参照) 。主に再描画速度の上限として重要。

dot clock (DCF)

More formally, `driving clock frequency'; The frequency of the crystal or VCO on your adaptor --- the maximum dots-per-second it can emit.

ドットクロック (DCF)

より正式には、`駆動クロック周波数'; 時々適当に`帯域幅'と呼ぶ。 アダプタの発信子または VCO の周波数 --- 毎秒描画可能ドット数の最大。

video bandwidth (VB)

The highest frequency you can feed into your monitor's video input and still expect to see anything discernible. If your adaptor produces an alternating on/off pattern, its lowest frequency is half the DCF, so in theory bandwidth starts making sense at DCF/2. For tolerably crisp display of fine details in the video image, however, you don't want it much below your highest DCF, and preferably higher.

ビデオ信号帯域幅 (VB)

モニタのビデオ入力に注ぎ込み、識別できる何かが見える事を期待すること が出来る最高の周波数。アダプタがオンオフ切り替えのパターンを生成した 場合、最低の周波数は DCF の半分になります。したがって理論上の帯域幅 は DCF/2 から始めることができると思います。精細な詳細のくっきりした 表示を我慢するならば、最高の DCF を欲しがらないで、お好みで高めに しておきましょう。

frame length (HFL, VFL)

Horizontal frame length (HFL) is the number of dot-clock ticks needed for your monitor's electron gun to scan one horizontal line, including the inactive left and right borders. Vertical frame length (VFL) is the number of scan lines in the entire image, including the inactive top and bottom borders.

フレーム長 (HFL, VFL)

水平フレーム長 (HFL) はモニタの電子銃が 1 つの使われていない左右 の境界を含む水平線を走査するのに必要なドットクロックの数。 垂直フレーム長 (VFL)は使われていない上と下の境界を含む 完全な画面の走査線の数です。

screen refresh rate (RR)

The number of times per second your screen is repainted (this is also called "frame rate"). Higher frequencies are better, as they reduce flicker. 60Hz is good, VESA-standard 72Hz is better. Compute it as

        RR = DCF / (HFL * VFL)
画面再描画速度 (RR)

毎秒の画面再描画回数。高いほうがちらつきを低減します。60Hzで良く、 VESA 標準の 72Hz の方がより良いでしょう。計算はこのようにします。

        RR = DCF / (HFL * VFL)

[訳注 : 対訳風終り。]

分母にある積はモニタに表示される解像度ではなく、幾らか 大きいことに注意してください。これについては以降で詳細に説明します。

インタレースモードの周波数は実際は半分のフレームの周波数で、普通 87Hz interlaced のように指定します。:典型的なディスプレイの画面の全体 ではフリッカが出るような周波数ですが、すべての単一の線が半分の周期で 再描画されます。 計算の意図はインタレース表示の周波数を全画面フレームの再描画速度 例えば 43.5Hz から計算することです。インタレースモードは全フレーム の周波数で表示したインタレースでないモードより表示品質は優れています。 しかし、確実に良くないことはインタレースでない周波数が半分のフレーム の周波数に一致した時です。

5.1 帯域幅について :

モニタ製造会社は帯域幅が画面の迫力と色変化のシャープさを制約するので高帯 域幅であることを宣伝します。帯域幅が大きいほど、より細かい画像を表示するこ とができます。

モニタは電気信号を用いて画像を表示します。信号は一旦デジタルからアナログ へと変換されると、つねにアナログ波形として取り扱われます。それは多くの、固 定した周波数の単純な波形の組合せであると考えられ、それらの多くは MHz の範 囲で例えば 20MHz、40MHz、さらに 70MHz だったりします。モニタのビデオ信号 帯域幅は事実上歪みが無く扱える高周波のアナログ信号です。

私達の目的のためには、帯域幅は主に使用可能なドットクロックのおおよその上限 として重要です。

5.2 同期周波数と再描画速度 :

画面上の水平走査線はフレーム長走査の中で実際に表示される部分です。それぞれ の瞬間には本当はたった一つの点が画面に輝いているのですが、再描画速度が十分 速いので目には絶え間無く全ての画像が"見える"という訳です。

ここでいくつかの絵で解説します :


     _______________________
    |                       |     水平フレーム長は秒当たり
    |->->->->->->->->->->-> |     電子ビームががこのような
    |                      )|     パターンを秒当り表示
    |<-----<-----<-----<--- |     する回数です。
    |                       |
    |                       |
    |                       |
    |                       |
    |_______________________|    
     _______________________
    |        ^              |     垂直フレーム長は
    |       ^ |             |     電子ビームがこのような
    |       | v             |     パターンを秒当り表示
    |       ^ |             |     する回数です。
    |       | |             |
    |       ^ |             |
    |       | v             |
    |       ^ |             |
    |_______|_v_____________|    

実際のラスター走査はとても細かいジグザグ型のパターンをしていて、左右に電子 ビームが動いて同時に上下にも動いています。

さて、ドットクロックとフレームの大きさは再描画速度に関係があるということが 分かります。定義上、 1 ヘルツ (hz) は 1 秒に 1 周期です。それから、水平フレー ム長を HFL とし垂直フレーム長を VFL とした場合に全ての画面を覆うには (HFL * VFL) 回ドットクロックが必要です。カードは定義から毎秒 DCF 回信号を出して いますので、明らかにモニタの電子銃は左から右、戻って、下から上へ、戻って を毎秒 DCF / (HFL * VFL) 回、画面上を動き回れる訳です。これは毎秒何回画面 を描き直しているかを表わしているので、画面の再描画速度なのです。

解像度とちらつきの関係がトレードオフの関係にあるので、自分の要求に応じて設 定を行なうためにこの概念を理解する必要があります。

テキストよりは視覚に訴えた方が分かるので次に関係図を描きます。:


        RR                                      VB
         |   min HSF                     max HSF |
         |    |             R1        R2  |      |
max VSF -+----|------------/----------/---|------+----- max VSF
         |    |:::::::::::/::::::::::/:::::\     |
         |    \::::::::::/::::::::::/:::::::\    |
         |     |::::::::/::::::::::/:::::::::|   |
         |     |:::::::/::::::::::/::::::::::\   |
         |     \::::::/::::::::::/::::::::::::\  |
         |      \::::/::::::::::/::::::::::::::| |
         |       |::/::::::::::/:::::::::::::::| |
         |        \/::::::::::/:::::::::::::::::\| 
         |        /\:::::::::/:::::::::::::::::::|
         |       /  \:::::::/::::::::::::::::::::|\
         |      /    |:::::/:::::::::::::::::::::| |
         |     /     \::::/::::::::::::::::::::::| \
min VSF -+----/-------\--/-----------------------|--\--- min VSF
         |   /         \/                        |   \
         +--/----------/\------------------------+----\- DCF
           R1        R2  \                       |     \
                          min HSF                |    max HSF
                                                 VB

これは一般的なモニタのモードダイアグラムです。ダイアグラムの x 軸は クロック周波数 (DCF)、 y 軸は再描画速度 (RR) を意味しています。ダイアグラムで塗り潰してある領域は モニタのビデオに表示できる領域です。この領域のどの点をとっても表示可能です。

`R1' と `R2' のラベルをつけた線は (640x480 のような) 固定解像度を意味 しており、一つの解像度を複数の異なるドットクロックと再描画速度の組み合わせ でどうやって実現しているかを図解したことを意味しています。R2 の線は R1 の解像度より高い事を表しています。

許された領域の上と下の境界線は単に水平線が垂直同期周波数の限界値を 表しています。ビデオ信号帯域幅はクロック周波数の上限値で、故に領域 の右の垂直線の境界に当たります。

モニタ性能をプロットする でこのようなダイアグラムを プロットして独特のモニタの問題解決の助けにします(X graphics ではかなり役に立つでしょう) その節ではまた興味深い水平同期周波数の限界から派生する領域の境界の について論じます。


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