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12. ET6000 メモリサイズの嘘と真実

ET6000 は MDRAM (複数バンク DRAM)と呼ばれる特殊な種類のビデオメモリを 使っています。このカードは 2 の乗数でない量の MDRAM(2.25MB や 4.50MB) を積んでいることがあります。特に 2.25MB MDRAM が一般的です。というのも、 RAM が 4MB 無くても 24bpp で 1024x768 をサポートできるからです。

このカードについては分かりにくい問題がいくつかあります。

まず最初に、4MB の制限を越えるようなメモリは全てお金の無駄です。なぜな ら、ET6000 はこのようなメモリを全く使うことができないからです。4.5MB くらいメモリを積んでいるボードもありますが、4MB を越える分の 0.5MB は 無駄になります。 ET6000 がリフレッシュできる (M)DRAM は 4MB だけです (リフレッシュレジスタ)。このカードは VGA モードだと 64KB のバンク 64 個にしかアクセスできません(バンク選択レジスタ)。アクセラレーション付き のコマンドの全ては、ビデオメモリ内部では 22 ビット(=4MB)のアドレスを使 います。これでお分かりかと思いますが…ET6000 には 4MB の限界を越えるメ モリを使う方法は存在しません。

次に(こちらの方が重要なのですが)、2.25MB のカードを使うことはできませ ん! ET6000 カードに関する報告がいくつかあるのですが、これによると ET6000 カードは MDRAM を 2.25 MB (たぶん)積んでいるものとして売られて いますが、これは標準の 2MB DRAM カードであることが明らかになっています。 多くの人がこのカードを使ってずっとトラブル続きでしたが、これは使用した X サーバがメモリを 2.25MB(あるいは 2.5MB)として検出したためです。誤っ た値が検出されるのは、チップの内部的な設計や、BIOS の内容が誤っている ためです。このようなメモリ検出に関する問題は既に修正されているので、サー バは正しい量のメモリを検出できるはずです。

メモリの量が絶対に正しいという自信が無い限り、自分自身でメモリの量を XF86Config ファイルに指定してはいけません

カードに載っている MDRAM を量を確実に調べるための簡単な方法があります。

ビデオカードを見てください。カードには ピンが 204 個付いている大きいチッ プがありますが、これが ET6000 です。ソケットに刺さっている長方形のチッ プ(大抵ステッカーが貼られていますが)が BIOS です。残りの大きいチップと しては、(大抵)以下のような印が付いている大きな正方形のチップ 2 つか 4 つあります。

MDRAM MD9xy ("xy" は 2 桁の数字です) SJ-5-100 (これは違うかもしれませんが、レイアウトは同じでしょう)

これら全ての隣には、4つの菱形の下に "MoSys" という名前をあしらった素敵 なロゴがあります。

"xy" の数字を見ると、1 つのチップのメガビットでのサイズが分かります。

したがって、カードに載っている RAM の量は次のようになります:

("xy" * [MDRAM チップの数]) / 8 MB

筆者のボードには、MD908 チップが 2 つ載っていたので、MDRAM の量は

(08 * 2) / 8 = 2 MB

ということになります。 同様に MD909 チップを 2つ 積んでいるボードのメモリは 2.25MB のようにな ります。

現時点で存在する MDRAM チップには、MD904, MD906, MD908, MD909, MD910, MD916, MD918, MD920 があります。


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