XFree86 の X サーバは 4 種類のマウスをサポートしています。すなわち、 シリアルマウス、バスマウス、PS/2 マウス、USB マウスです。
しばらく前まで、シリアルマウスは PC で最もよく使われていたポインティン グデバイスでした。多くのメーカーから色々なモデルのシリアルマウスが発 売されています。ただし、モデルの種類は多いものの、シリアルマウスがホスト コンピュータと通信するためのプロトコル(データフォーマット)はあまりあり ません。
最近のシリアルマウスは PnP の COM デバイスの仕様に従っているので、ホス トコンピュータは自動的にマウスを検出し、適切なドライバを自動的にロード できます。XFree86 3.3.2 の X サーバは、この仕様をサポートして おり、ポピュラーなモデルの PnP シリアルマウスを検出することができます。
バスマウスは拡張スロット内の専用インタフェースに接続します。一部のビデ オカード(特に ATI 製)と統合 I/O カードにはバスマウスのコネクタが付いてい ることがあります。バスマウスの中には「InPort マウス」として知られてい るものもあります。
一部のメーカーは、シリアルマウスとシリアルインタフェースカードを組み合 わせたパッケージを出している点に注意してください。この類の製品を本物の バスマウスと混同してはいけません。
PS/2 マウスは「マウスポートマウス(Mouse-port mouse)」と呼ばれることも あります。PS/2 マウスは、次第に一般的かつポピュラーになりつつあります。
PS/2 マウスはインテリジェントなデバイスであり、3つ以上のボタンやホイー ル、ローラーを持つことができます。PS/2 マウスは通常、電源を入れた直後に は IBM が出したオリジナルの PS/2 マウスと互換です。 追加機能を持っている PS/2 マウスの場合、これらの機能を有効にするために は特別な初期化手続きが必要です。適切な初期化を行わなければ、このよう なマウスは普通の 2 ボタンあるいは 3 ボタンマウスとしてしか動作しません。
USB(Universal Serial Bus)ポートは、最近のコンピュータのほとんどに付い ています。マウスやキーボードを含むいくつかのデバイスをこのバスに繋ぐこ とができます。
XFree86 3.3.6 は、一部のシステムで USB マウスをサポートしています。
最近のマウスの多くは、シリアルマウスとしても PS/2 マウスとしても使うこ とができます。このようなマウスには、接続されているインタフェースを識別 するためのロジックが組み込まれています。しかし、シリアルマウスと PS/2 マウスの両方のインタフェースに互換であると書かれずに売られているマウス にはこのロジックは組み込まれておらず、自動的に識別を行わせることはでき ません。 これは、PS/2 マウスをシリアルポートに接続する(あるいはその逆を行う)適 切なアダプタがある場合にも言えます。
最新の XFree86 はホイールやローラー、ノブの付いたマウスをサポートして
います。この動きはマウスの Z 軸(3番目の軸)の動きとして検出されます。X
サーバや X クライアントは通常、ポインティングデバイスの Z 軸の動きは利
用しないので、新しい設定オプション ZAxisMapping
が用意されて
います。
このオプションを使うと、Z 軸の動きを他のボタンの対や他の軸の動きに割り
当てることができます(後述)。